バッテリー復活用パルス発生器  (2011/05/26掲載、2014/01/07最終追記)

 先日、プライベートで使っているコンパクトカーの9年目の車検を受けました。車検はディーラーに出しましたが、「9年使ったバッテリーとしては驚異的に良好な状態を維持している」と言われました。新車から1年経過後くらいの状態だそうです。7年目の車検の際、このディーラーからは「バッテリーが相当弱っているので、交換しませんか」と提案されていたのですが、プラグイン・ハイブリッドが発売されたら乗り換えたいと考えていたので、断った経緯があります。残念ながらプラグイン・ハイブリッドはまだ発売されていないので、9年目の車検を取ることにしたのですが、この冬にエンジンの始動性の低下を感じていたので、キャンピングカー用に購入したバッテリー復活用(サルフェージョン防止用)のパルス発生器を使ってみていたのです。

 サルフェージョン : 鉛蓄電池は放電し切ると、負極板表面に硫酸鉛の硬い結晶が発生しやすくなりますが、この現象をサルフェージョンと呼びます。サルフェージョンが進行すると 負極板の海綿状鉛のすき間が埋まり、表面積が低下します。 硫酸鉛は電気を通さず抵抗となる上に、こうした硬い結晶は溶解度が低く、一度析出すると充放電のサイクルに戻ることができなくなり、バッテリーの劣化として交換せざるを得なくなります。



 上の写真で、充電器の手前に写っている黒い箱状のものがパルス発生器です。写真でお分かりの通り、私の購入したパルス発生器は充電器型(パルス充電器)のものではなく、常時接続しておくタイプのものです。

 キャンピングカーの居住区用バッテリーは、車内照明や冷蔵庫、電子レンジ、FF暖房機の送風機などを駆動するために使っているのですが、ディープサイクルバッテリーの大きな容量のものを2つ搭載しており、交換となればかなりの出費となります。新車当時のフル充電のバッテリーでは、車載冷蔵庫をまるまる2日間くらい連続駆動できておりましたが、それが最後にテストした際は、5時間程度になってしまっておりました。単純に考えれば、バッテリーの容量が10分の1程度に劣化していたことになります。

 そこで、このパルス発生器を購入し、数か月間に渡りキャンピングカーの居住区用バッテリーに接続していたのですが、残念ながらバッテリーの性能が復活したというような実感はありませんでした。直近ではバッテリーを3日間くらいかけてフル充電しても、おそらくバッテリー保護用の遮断回路が働いているのだと思いますが、その後の3日間くらいの自然放電で、電圧計がゼロになってしまっていました。この段階で冷蔵庫の連続駆動可能時間を計測したとすれば、1時間持たなかったのではないかと思います。実は以前、上記のコンパクトカーにも1カ月間ほど接続していたことがあったのですが、この時もその効果を感じておりませんでした。

 このパルス発生器はまやかしの製品ではないかと疑っていたのですが、この冬、このコンパクトカーのエンジン始動性に劣化を感じた際、試しに充電器と一緒に使ってみておりました。この充電器はバッテリーの充電状態を維持するだけの小さな電流を流せる機能が付いたもので、バッテリーから全ての配線を外し、この維持電流で3日間連続で接続しておいたのです。その結果、エンジンの始動性の向上が実感できてはおりましたが、ディーラーが言うほどの復活が実現しているとは思いもよりませんでした。

 早速、弱っていたキャンピングカーの居住区用バッテリーに対しても、このパルス発生器と維持電流を流せる充電器を接続し、試してみることにしました。バッテリーに接続されている配線を全て外しましたが、これはバッテリーに接続されている機器にもパルスが飛び、これらの機器に対する悪影響があるのではないか、バッテリーに対するその効果が弱まるのではないか、と考えたからです。パルス発生器の説明書によれば、バッテリー3個まで同時に接続できるようなのですが、2つ積んでいるバッテリーを一応個別に試してみました。当初、バッテリーの電圧が低い状態で接続しましたら、パルスが発生しませんでしたので、一旦、キャンピングカーに装備されている充電器で24時間充電して電圧をあげ、その後維持電流の流せる充電器とパルス発生器を接続しましたら、パルスの発生が始まりました。

 それぞれのバッテリーに対してパルス発生器と充電器を接続し、別個に1週間ずつ連続通電してサルフェージョンを除去した後、バッテリーをキャンピングカーに装備された充電器で再度24時間充電しました。その後、例によって車載冷蔵庫の連続運転可能時間を計測してみたのですが、その結果、冷蔵庫を連続10時間ほど駆動できるまでに回復しておりました。以前、冷蔵庫を使ってバッテリーの連続使用時間確認テストをした季節が思い出せないので、単純に比較できないのですが、かなり回復しているようです。しかし、コンパクトカーのバッテリーのように、ほぼ新品の状態に戻ったとは言えません。ちなみに、キャンピングカーのエンジンルーム内バッテリーに対しても、3日間連続でパルス発生器と充電器を接続し、効果を確認してみましたが、バッテリー能力の復活を実感しております。

 2つのバッテリーを別個に試した際に気が付いたのですが、維持電流での充電時のバッテリーの発熱が異なります。より多く発熱するバッテリーはサルフェージョンの発生がひどく、バッテリーの内部抵抗が大きくなってしまっているものと推測されます。ここまで劣化してしまうと、1週間程度のパルス発生器接続では足りないのかもしれません。1ヵ月くらい連続して接続・通電し、また冷蔵庫の連続運転時間を計測してみようと思います。その結果はまたお知らせいたします。

 私はこのパルス発生器の使い方を間違っていたようです。このパルス発生器はバッテリーが新品の時から使い始めれば、接続しておくだけで、サルフェージョンの発生を抑え、バッテリーの長寿命化を図る製品ではないかと思います。一旦発生してしまったサルフェージョンを除去するには、充電器と併用しなければならない製品なのでしょう。このパルス発生器の顕著な効果を認めざるを得ませんが、比較的高価な買い物です。このパルス発生器の購入価格をはっきり思い出せないのですが、一万円前後だったのではないかと思います。従いまして、一般の乗用車であれば、バッテリー交換の費用と余り変わりません。このパルス発生器でバッテリーをどの程度延命できるのか分かりませんが、経済性を考えますと、キャンピングカーなど高価なバッテリーを搭載している場合や、多くの車両を運用しているような場合に、初めてペイする製品ではないかと感じます。

 なお、私はこのパルス発生器の製造元とは何の利害関係も持っておりませんことをお断りしておきます。


2011年7月08日追記
 キャンピングカーの居住区用バッテリーへの効果について、追記いたします。

 2つのバッテリーのうち、充電時の発熱量の大きかったバッテリー(以下「バッテリーA」と呼ぶ)に対して、3週間通しでパルス発生器を接続し、維持電流で通電したのですが、通電を終了するとみるみる電圧計の針は下がってしまいます。明らかにパルス発生器では再生できないくらい劣化が進んでいると判断し、再生を諦めて交換のためキッチンキャビネットの奥に2階建てで格納されているバッテリーを取り出しました。取り出すまではメーカーや型番が分からなかったのですが、使われていたバッテリーはTrojanの80Ahのディープサイクルバッテリーでした。ディープサイクルバッテリーは密閉型であると信じて疑わなかったのですが、これは実は開放型で、バッテリー液がかなり減っていることが分かりました。そこで、2リットルのバッテリー補充液を買ってきて、再度試してみることにしたのですが、なんとこれでは足りず、2.5リットルも補充することになってしまいました。従いまして、バッテリー液はほとんどなくなっていたのではないかと推測されます。もう一つのバッテリー(以下「バッテリーB」と呼ぶ)は容量がかなり回復したと考えていたのですが、念のためこれも取りだし、補充液を入れたところ、これもなんと2リットル入りました。

 両バッテリーともバッテリー液補充後パルスを3日間流し、その後48時間充電したのですが、明らかに両バッテリーともバッテリー液補充前と比べると充電時の発熱が少ないことが分かりました。その後、例によって車載冷蔵庫で持続時間を計測してみた結果が次の通りです。

バッテリーA:13時間
バッテリーB:30時間

 バッテリーAをテストしたのは気温が34度位まで上がった昼間であり、バッテリーBのテスト日は最高気温29度くらいで、しかも気温の下がる夜間も冷蔵庫を動かしましたので、単純に比較できませんが、少なくともバッテリーBはかなり新品に近いところまで回復したと判断できます。バッテリーAは残念ながら十分に回復したとは言えず、半分程度の容量まで戻ったといったところでしょうか。結局、両バッテリーで43時間になりましたので、これで実用的には十分に回復したと判断しました。バッテリーAに対してはパルス発生器と維持電流の流せる充電器の利用を継続し、今後の推移を見守ろうと思います。

2011年7月21日追記
 バッテリーAとバッテリーBを並列に接続して48時間充電した後、冷蔵庫の連続運転試験をしてみました。43時間持続できればよいと考えていたのですが、54時間持続できました。これで完全に元に戻ったように感じます。バッテリーAは最初から「はずれ」の個体であったのかもしれません。私自身はこのパルス発生器に大変満足できました。

2011年8月31日追記
 自分のオフィスに設置しているサーバ用に、APCのSmart-UPS(無停電電源装置)を利用しております。このUPSは設置してから5年以上経過しており、バッテリー電圧用(蓄積電力量)の5つある表示ランプのうち、4つまでしか点灯していませんでしたので、バッテリーテストをしてみました。その結果は数秒でバッテリー不良の赤ランプが点灯してしまうというもので、通常はバッテリー交換となります。UPSは5年も利用するとバッテリーが劣化してしまい、バッテリーによる運転時間が新品時に比較して極端に低下してしまいます(新品時の10~20%位)。サーバの安全な自動シャットダウンに要する時間をカバーできなくなる可能性があり、停電時にUPSが本来持つ機能を果たせなくなって大変危険です。
 このUPSには12Vの密閉型の鉛バッテリーが直列で2個使われていることが分かりましたので、試しにこのバッテリーにもパルス発生器を試してみました。
 それぞれのバッテリーに対して別個に48時間ずつパルス発生器を接続し、維持電流で通電しておきました。UPSに戻した直後に再度バッテリーテストをしましたら、テストは正常に終了するようになりました。UPSに戻して一晩後にはバッテリー電圧の表示ランプも5つ点灯するようになりました。
 この再生したバッテリーが今後何年間利用できるかわかりませんが、2万円ほどのバッテリー交換費用の出費が、暫く先延ばしできそうです。

2014年1月7日追記
【キャンピングカー居住区用バッテリー】
 昨年(2013年)10月にバッテリー交換いたしました。冷蔵庫や給水ポンプ、車内照明、FF暖房(送風ファン駆動)等を使う分には問題なかったのですが、電子レンジを使うと電圧降下が大きく、低電圧のために利用できない状況になったためです。バッテリー単体での計測電圧は正常範囲でも、内部抵抗が徐々に増加して大電流を流す必要のある機器を利用すると問題が顕在化するようです。電子レンジさえ使わなければまだまだ使えたように感じますが、8年間使ったことになりますのでこれで十分と考え、交換時期が来たと判断しました。
 余談ですが、定格出力1.6KVAの交流発電機でもこの電子レンジ(定格消費電力1,360W)を駆動できません。突入電流がとても大きいらしく、電子レンジのスイッチを入れると発電機のエンジン回転数が急に落ちてオーバーロードになってしまい、電力供給が止まってしまいます。電子レンジ側では低電圧による駆動不能の表示が液晶パネルに出ます。キャンプ場の電源フックアップでも使えないことがありました。車内配線としては、電子レンジはバッテリーに接続されている連続最大パワー1.2KW(間欠最大1.4KW/30分)のインバータに接続されており、このインバータの瞬間最大パワーは3.0KWですので、ぎりぎりでバッテリー駆動されている状況です。

【コンパクトカー用バッテリー】
 一昨日(2014年1月5日)、近くの図書館へ借用した本の返却と予約していた本の受取に行った際、ハザードランプを5分間ほど点滅させていただけなのですが、セルモータが十分に回転しなくなり、エンジン始動できなくなってしまいました。やむを得ず徒歩で自宅まで帰り、キャンピングカーで出かけてバッテリー直結でエンジンを始動するつもりでしたが、その間30分ほど経過しておりました。30分の休息でバッテリーが幾分回復して自力でエンジン始動できるのではないかと試しましたら、弱々しいセル回転ながらエンジン始動に成功しました。バッテリー直結での始動は不要となりましたが、これも交換時期が来たようです。昨年末のバッテリーの電圧計測結果は12.65Vでしたので、まだまだ使えるはずで、キャンピングカーのエンジン用バッテリーの電圧が12.3V程度でしたので、こちらの交換時期の方が早く来ると考えていました。5日から6日にかけて24時間パルス発生器でバッテリー再生を行い、昨日(6日)の夕方はエンジン始動に違和感を感じなくなっておりましたが、バッテリーに対する不安感は払拭できませんので、インターネット購入で新しいバッテリーを注文しました。コンパクトカーのバッテリーは11年以上使ったことになりますので十分すぎるくらい使い倒したと思います。バッテリーの劣化は蓄電容量の減少という形でも顕在化し、電圧だけでバッテリーの状況を判断するのは危険という教訓が残りました。なお、ダイナモの故障でバッテリーを充電できなくなっている可能性がありますが、本日電圧計測しましたら、エンジン停止時12.71V、エンジン回転時14.80Vですので、ダイナモは正常であることが分かりました。

【UPS用バッテリー】
 UPS用バッテリーも昨年12月に「バッテリー交換ランプ」が点灯するようになりました。バッテリー電圧用(蓄積電力量)の5つある表示ランプはすべて点灯しておりますが、設定しておいた自動バッテリーテストで交換時期と判断されたようです。パルス発生器で再度再生を試みるも、バッテリー交換ランプが消灯することなく、再生ができませんでした。このUPSは2006年購入ですので、8年間近く働いてくれたわけです。ユーザーズ・マニュアルにはバッテリーの寿命は2年程度と書かれておりましたので、これも十分に使い倒しました。新しいバッテリーはまだ購入しておりませんが、近々発注しようと考えております。

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